プログラム設計やソフトウェア関連のコンサルティングなど、コンピュータ周りの業務を幅広く手掛ける、株式会社コンピュータ技研。
ビジネスを推進できる優秀な人材の育成に力を入れ、『次世代を担う若手が、素敵な人生を歩めるように』をテーマに、一年間のセミナープログラムを実施しています。
今回は第2回社内セミナー(東京編)です。
未来に備え、意見が言い合える会社になるために
あなたは意見を「言える」派?「言えない」派?
第2回セミナー東京編での参加者は全部で14名。
今回が初めての参加というメンバーも多くいたため、改めて取締役の松井氏よりセミナーの主旨を説明いただき、全員が目的を理解した上でセミナースタートとなりました。
真剣な表情で耳を傾けるメンバー達
このセミナーは参加型。
全員目を閉じて、柴田氏のストレートな質問に答えるところからセミナーが始まります。
「今の会社で、自分は結構意見が言えていると思う人?」
目を閉じて考え込むメンバー一同。少し間をおいて、まばらに手が上がります。
「では、言えてない人?」
迷っている様子のメンバーもいましたが、どちらかというと「言えない」が多数派のようです。
次に、意見が「言える」派と「言えない」派で席替え。
一人一人、理由を挙げてもらいます。
- 「言えない」派チームからは次のような声が出ました。
- あまり言いたいことがない
- コンピュータ技研では言わないが、派遣先の現場では言う
- 知識不足、経験不足
- 論破できない
- うまく伝えられない
- 自分が合っている自信がない
- 言っても変わるのかわからない
- 顔を合わせる機会が少ない
- 入社して日が浅いので
- 周りの心証が気になる
- 一方で、「言える」派チームはこんなことを考えているそう。
- 自分のモチベーションが上がる環境にするため
- チーム全体のパフォーマンス向上のため
- 認識の齟齬がないように
- 上司が言いやすい環境を作ってくれている(席が近い、一緒にご飯)
- 考えすぎずに、わからないことはまず聞いたり、伝えたりしてみる
- 先輩を盾にして言ってみる
- 自分も何かあれば言ってほしいから、人にも言う
- 新卒の今しか言えないと思うから
双方の意見を聞いた上で、柴田氏より次の質問です。
「会社に意見を行った方が良くなると思う?悪くなると思う?」
これは全員が「意見は言った方がいい」に手を挙げました。
「会社を良くするような建設的な意見が言えるようにするにはどうしたらいいか?
理想と現状の比較、問題の可視化、さらに明確な課題の設定をできる人が増えた方がいいよね」
そうした前提の元、次は基本のフレームワークを学んでいきます。
基本のビジネスフレームワーク
〜ASIS/TOBE、MECEフレームワーク〜
大阪編でも登場したこのビジネスフレームワーク。実際に問題解決のテクニックとして活用していきます。
「会社の問題を解決していくには、大まかに3つのステップがある。」と柴田氏は言います。
- 理想と現状の比較
- ギャップ(問題)の可視化・整理
- 課題の設定
それらをスムーズに行うために、段階ごとにいくつかフレームワークを使っていきます。
「1.理想と現状の比較」にはASIS/TOBE(図1)。理想と現状を比較して、その真ん中にあるギャップ=問題を見つける手法です。
「2.ギャップ(問題)の可視化・整理」で使うのが6W2H(図2)やMECE(図3)です。
【図1: ASIS/TOBE 理想と現状のギャップを発見】
【図2: 6W2Hで問題を見える化】
【図3: 問題の分類とMECEフレームワーク】
フレームワークの大枠が理解できたら次は実践編に入っていきます。
フレームワークを活用しよう
①コンピュータ技研の理想と現状を考えてみる
3〜5人程度のチームに分かれて、自分が思う理想の会社と現状の会社について話し合います。
まずは個人の中で紙に書き出してみて、チーム内で意見をまとめ、チームごとに発表することになりました。
チーム発表までの準備時間は20分です。
ジャンルは何でもよく、会社の問題でも個人の問題でも構いません。
ポイントは理想と現状をセットで考えることです。
同じ会社でも、人によって感じている問題は様々。互いの意見に興味津々です。
20分が経過し、グループワークは次のステップへ。
フレームワークを活用しよう
②東京のメンバーから見るコンピュータ技研の問題点
「みなさん結構活発に意見が出せてましたね! 発表の前に、チームの中で出た問題の分類もやってみましょう。
ホワイトボードを見てください」
「昨日実施した大阪オフィスでのセミナーで、ある程度コンピュータ技研の問題は6つに分類できそうだなと思ったので、今日は予め分類しておきます!
当てはまらないものは『その他』でいいので、今出てきた意見を何に関わる問題なのかチーム内で話し合ってみて。」
ホワイトボードに書かれているのは
- 評価
- お金
- 労働環境
- 人(スキル含む)
- 社風
- 売上・利益
5分ほど分類の作業に時間を取り、いよいよ発表タイムです。
今回は「●●の問題で、現状は〜〜だけど、理想は〜〜にしたい」といった形で、整理された状態で発表してもらうことになりました。
5分後、4つのチームから、下記のような意見が出てきました。
-
1. 評価のこと
- 一般社員 → 課長になりたい
-
2.お金のこと
- 基本給16万と残業などの手当 → 基本給20万 家賃手当欲しい
- 少ない→ 大富豪(年収1000万)
- 食費の補助がない → 手当が欲しい(昼食代は現場の相場により異なるため)
- 出張交通費が月2回まで → 会社都合の場合は相談させて欲しい
- 3.環境のこと
- 手当が少ない → 福利厚生を充実してほしい
- 現場に自社のメンバーが自分のみ → 自社の人と一緒に働きたい
- 残業40h → 15hにしたい
- 「●●支社所属」など決められている → 支社に属さず、いろいろな地域に行きたい
- 支社間の交流が少ない → 支社間の交流を増やしたい
- 環境が現場依存 → 良い環境に身を置きたい
出てくる意見をその場でホワイトボードへ書き込みます。
- 4.社風のこと
- (派遣先で)飲み会が週4〜5日 → 週1
- タバコの付き合い(1日数回) → 1日1回
- 拠点間の交流はもっと増やしたい
- 5.人のこと/スキルのこと
- 自身の仕事スピードが遅く残業している → 決められた時間の中で終わらせたい
- 業務への理解度が浅い → 深めたい
- 業務に役立つ資格を持ってない → 取りたい(応用情報)
- 会社の指示で派遣されている → クライアントから指名されるエンジニアになりたい
- メンバーの一人 → チームを回すエンジニアになりたい
- 業務システム系の仕事が多い → 最新の技術を知れる環境
- イレギュラーに強くなりたい → 臨機応変になりたい
- 6.売上利益
- 案件単価わからない → 単価を知り、案件単価を上げたい
- ※その他(中途内定者からの意見)
- 前職は工場勤務で裁量が少なかった → 責任ある仕事がしたい
意見を出しているメンバーたちは一様に真剣な表情です
同じ東京オフィスと言えど、普段なかなか顔を合わせる機会のないメンバーたち。
他のチームの発表中にも「あーそれもある」「え、そんな現場あるの?」など互いに関心を持って聞いていました。
また、柴田氏より「ここでは出なかったけど、大阪では『社内イベントは全部若手の仕事なのが嫌だ』『自社製品がほしい』なんていう意見もあった!ちなみにジャンルとして一番多かったのはお金だった!」など大阪オフィスの様子についても話してもらうと、「わかる!」「結局はそれが一番だよね〜」と共感する声が相次ぎ、会場は笑いに包まれました。
それでは次のステップです。出てきた問題に対して課題を設定してみましょう。
問題に優先順位をつけてみよう
「みんなから出てきた問題の中で、これは絶対に変えたい!っていうものを多数決で決めたいと思います。それから、その問題についてみんなで考えてみよう」
手を挙げていいのは1人2回まで。
「決められない!」「どれにしよう!」とここで今日一番の盛り上がり。
- 支社を増やしたい
- 基本給をあげたい
- 資格を取りたい
多数決の結果、上記のような項目が上位に入ってきました。
「みんなの中で共通の解決したい問題が見えてきたね。でも、単純に票数が多いものから解決するわけじゃなくて、ここから四象限で考えていきます」
四象限とは、緊急度/重要度2つの軸を、さらに高/低の4つで分けて考える方法です。
また、そこにプラスして「自分でコントロールできる問題かどうか」という視点を持つことで会社にとって緊急度・重要度が高い問題(すぐに解決すべきと提案できる)、会社にとっては緊急度は低いかもしれないが、自分でコントロール可能な問題(自分で解決できる)など、問題の優先順位をつけることができると言います。
問題から、課題に落とし込んでみよう
四象限を活用し、次第に一番すぐに着手できそうな課題が見えてきたようです。
全員一致で「資格取得」に決定しました。
続いて、「資格取得」という問題を解決するための課題設定を書き出してみます。
- 受験料が必要(SAPコンサルなら5万円、会社から補助は出るが受からないともらえない)
- 勉強する時間
- 難易度が高い
解決していく方法としては
- すでに資格を保有している人に勉強会をしてもらう
- 会社に受講料を補助してもらう(5万のうち2.5万など)
「時間は何とかなりそうだよね。難易度も、勉強会などでノウハウを共有すればハードル下がりそう。
問題は受験料。その資格があると会社の売上にはどのくらい影響するんだろう?」
次に柴田氏は、仮の数値を設定した上で、以下のような会社への交渉方法を提案します。
「受講料の5万のうち、2.5万を会社に出してもらうにはどうしたらいいか?
仮に、資格を保有することで一人の売上が2.5万円上がったとする。
会社内に10人保有者が増えたら、月の会社の売上は25万円、年で見たら300万円上がることになる。
【来年度300万円売上をUPさせるために、資格を取りたい10人に2.5万円ずつ(計25万円)を補助してほしい】
と会社に提案することができるよね。」
このように具体的な数字に落とし込んで話すことができれば、経営層も納得して、提案を受け入れてくれるのではないでしょうか。
「どんな問題も、この話みたいに噛み砕いていけば、みんな『あぁ、できるかも』って思うよね。」と、柴田氏。
どんなプロジェクトも
問題と課題をロジックで落とすところから
柴田氏は今後、Next C.T.Lに期待することを次のように語ります。
「何度も言うけど、理想や現状の間のギャップが問題。それをロジックで課題に落とし込んでいく。
これを、いろんなパターンで作っていきたい。それでどんどん会社を変えていってほしい。
今日の話の中で『これできそうかも』って思わなかった?何人がそういう発想を持てるかで会社の成長率は本当に変わる。
ここのメンバーには、できないと決めつけず『できそう』と思えるようになってほしいです」
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はじめは手探りでセミナーを受けていたメンバー達ですが
Next C.T.Lではどんなことをしていくべきなのか?自分たちはどんなことを期待されているのか?
2回のセミナーを通して、少しずつ理解が深まったきたのではないでしょうか。
「きっと、会社はもっと良くできる。」「自分たちはまだ上に行ける」
メンバーたちの気持ちがそんな風に未来に向かっていってくれていたら嬉しいです。
次回のセミナーレポートもどうぞお楽しみに。